全部、白いままで・・・
「……あっ、だめ、ほんとに……っ」
奥さんの声が、震える。
でもその脚は、決して離れようとしない。
白リブソックスのかかとが、ぼくの背中にぐっと引き寄せるように食い込む。
「うそ……こんな、奥まで……あぁ……っ」
汗ばんだ肌と肌が触れ合い、
けれど、その足元だけは――ずっと白いまま。
くたびれたリブ編みの繊維が、
吐息のたびに小さく揺れている。
「わたし……履いたまま……あなたの中で……
あ、ああっ、だめ……もう、きちゃう……っ!!」
突き上げとともに、彼女の全身が跳ねる。
爪先がぎゅっと丸まって、白いソックスがくしゃっと折れ曲がった瞬間――
「……んっ、んんっ……あっ……あぁぁ……っ!!」
甘く、長い声が部屋に響いた。
全てを許したように、しがみついてくる奥さん。
白い脚を腰に巻きつけたまま、
彼女は小刻みに震えながら、静かに息を整えていた。
しばらく、言葉が出なかった。
額を合わせて、ただ呼吸を重ねる。
奥さんの白い足が、まだぼくの腰に絡まったまま――
ソックスは、少し湿って、くったりしていた。
「……こんなこと、して……わたし、もう戻れないね」
そう呟いた声は、どこか安心しているようにも聞こえた。
ぼくが、そっと彼女の足にキスを落とすと――
奥さんは、ほんのり笑って、
「……ほんとに、白ソックスが好きなんだね」
と、恥ずかしそうに目を伏せた。
スーパーのレジ。
奥さんと再び目が合った。
その日は、彼女が丈の長いスカートを履いていた。
でも、スカートの裾から――白いリブソックスが、ちらっと覗いていた。
彼女は、それに気づいたぼくの視線を見て、
小さく――ほんの小さく、笑った。
そして、そっと口を動かした。
「また……履いてきちゃった」
🧦つづく。
This website uses cookies.