限界線:脱がずに、ここまで


限界線・・・

「……ねえ」

奥さんの声が、すぐ耳元でささやく。


さっきまでぼくの股間を挟んでいたソックスの足が、
今は太ももの内側をゆっくりと撫でている。

「これ、脱がないまま……
どうなっちゃうと思う?」

わざとらしくつま先を立てて、膝の間に潜り込ませる。
くすぐるような、撫でるような――
でも、明らかに“そこ”を意識した動き。

「ずっと見てたでしょ? このソックス。
レジ越しでも、しゃがんだときも……
あなた、足元ばっかり見てた」

彼女の指がぼくの胸にそっと触れる。
押すでもなく、ただそこに添えるだけ。
でもその指先が、ぼくの呼吸をどんどん浅くしていく。

「脱がないよ。だって……“履いたまま”が好きなんでしょ?
汚れてても、蒸れてても……それでも、いいんだよね?」

言葉が脳に直接突き刺さる。
彼女のリブソックスが、今はぼくの股間にぴたりと沿って、
小さく、ゆっくり――なぞる。

 

「……ほら、もう……
こんなになってるじゃない」

息が詰まりそうな空気。
指も、口も、使わない。
ただ、“白いソックス”だけが、ぼくをじわじわ追い詰めていく。

「ねえ……これ以上は、ほんとに……戻れなくなるよ?」

彼女の瞳が、ほんの一瞬揺れた。
でも、足は止まらない。
ぴたりと股間に密着したソックスが、
今度は、ゆっくりと腰を誘うように押し当ててきた。

「でも……あなたの顔、見てたら……
もう、止められないかも」


次回につづく・・・

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