「……ほんとに? 嗅いじゃう?」
奥さんが、脚を組み替える。
くたっとした白リブソックスが、目の前に近づいてくる。
「なんか、変な人だなぁ……」
そう言いながらも、彼女の声にはほんの少しの期待が混じっていた。
ぼくは、ゆっくりと身を前に乗り出す。
鼻先が、ソックスのつま先に触れるほど近づいて――
「……っ」
嗅いだ瞬間、ムワッとした熱気が鼻をつく。
汗と靴の中で熟成された、濃厚な生活の匂い。
でも、それが妙にいやらしくて、頭がふらつくほどだった。
「え……ほんとに、嗅いでるの?」
奥さんの声が、少しだけ震えていた。
でも止める様子はなく、むしろ……じっと見てる。
「……変態、さんだ」
そう呟いた彼女の声は、どこかうっとりしていた。
「……じゃあ、もっと匂わせてあげようか?」
奥さんは、もう片方の足も膝に乗せて、両足でぼくの顔を軽く挟むようにした。
つま先とつま先がぼくの頬に触れ、白ソックス越しの体温がじわじわ伝わってくる。
「匂い、好き? こんな、蒸れてるのに……」
甘く、でも意地悪に。
奥さんの足が、ゆっくりぼくの頬をなぞる。
「……そういうの、興奮するの?」
次回につづく・・・
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